住まい

住まいに関するご相談・いつでもどうぞ

Kaisyu  当事務所では住まいに関するご相談等はいつでも無料で受け付けております。
ブログの記事では住まいづくりに関して具体的な仕事の話などは個人情報もありますのであまり書き込むことができませんが住まいづくりに関する一般的な話はその時々に書き込んでいくつもりです。

 新築に限らず増改築、リフォームなど気楽にご相談ください。私の住む栃木県をはじめ地方には古くても存在感のある今では手に入れるのも難しいような柱や梁などの構造体などまだまだ使える、潜在的価値の高い住まいも結構残っています。壊してしまえばそれで終わってしまいます。古い家屋の耐震診断や耐震改修についても木造の良さを殺したような補強金物でがんじがらめの方法ではなく木の持つしなやかさを生かした限界耐力設計法による解析では既存の構造体を生かした補強方法で対応できる場合もあります。(構造や施工方法など既存の状況によりますが)

 耐震性、耐久性に対する不安、使い勝手や暑さ寒さに不満があっても既存を生かしながら設計力(デザインや構造解析を含めた技術力)を持って色々と工夫をすれば快適な住まいに再生することも可能です。建て主さんのライフスタイルを生かしハウスメーカーのモデルハウスとは一味違う個性ある住まいづくりを設計者といっしょにしませんか。

 ご相談についてはプライベートな話もあると思いますのでメールやお電話でどうぞ。もちろん直接来所いただいてもかまいません。ご来所いただく場合は不在等の場合もございますので事前にご連絡をお願い致します。

冒頭の当事務所へのリンクからHPへアクセス出来ますので連絡先等はそこでご確認ください。写真は当事務所が手がけた宇都宮市内における農家住宅の全面改修工事の様子です

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簡易ソーラーシステム8年目の話

Nogi1  我が家「野木の家」にオリジナルの簡易ソーラーシステムと共にアクアレイヤーヒーティングシステムが導入されて8年余りが経つ。セットで一つのシステムとなっているのでそれぞれが単独ではどれほどの効果があるのかを判断するのは難しいのだが昨年の暮は秋口からずっとアクアレイヤーの電源を入れずに簡易ソーラーのみで過ごして見た結果の話。

 簡易ソーラーのみの場合を体感する為と言えば聞こえがいいのだが実際のところエコ生活を兼ねて経費節減が目的である。どちらかと言えばこちらが主か(^_^;) 昨年の暮は天気の良い日が多かった。日中は窓から直接入る日差し(ダイレクトゲイン)だけで十分なほど暖かく当然ながら暖房は不要だ。(ダイレクトゲインを最大限有効活用するように設計している)簡易ソーラーも棟の集熱ダクトの温度が20℃を超えれば内気循環モードから自動的に外気取り入れモードに切り替わり集熱空気を床下に送り込む。直接入る日差しの効果が大きいのでソーラーとして取り入れた集熱空気がどれほど効果を出しているのかは体感的には判断が出来ないが一切の暖房なしに20℃前後の室温にはなる。ただし日が陰ると室温は徐々に下がり始め無暖房の場合は15~16℃近くまで室温は下ってしまうがそれ以外に何の補助もなしで(パッシブで)この温度を維持できる程度が簡易ソーラーの評価というところか。こたつだけでも我慢できなくはない温度ではあるがこたつから出るのが億劫になるのでエアコンを入れて18℃程度まで室温を上げて過ごした。

 年が明けてようやくアクアレイヤーシステムの電源を入れた。深夜電力(PM11:00から翌朝AM7:00まで)を使う夜間蓄熱タイプのものだ。さすがに1晩では設定温度までアクアレイヤー(水を入れた袋、90mmの高さがある)の湯温が上がらず朝起きても本来の特徴である床のほんのりした温かさがあまり感じられない。(この時の湯温で26℃)3日目でようやく33℃あたりまで温度が上がってきた。これくらいになるとほんのりとした温かさが感じられる。こたつは電源を入れなくても床からの放熱で自然に暖まっている。寒がりでなければこれでも十分だろう。天気の良い日はダイレクトゲインだけで十分に温かいのでアクアレイヤーの温かさわからなくなってしまうのだが日が陰ってからは大きく違ってくる。夜になっても室温はほとんど下がらず深夜電力の電源の入るPM11:00頃まで18℃程度(この時のアクアレイヤーの湯温は24~25℃程度)を保ちつづけ暖かいとまでは言わなくても寒くはない室温を維持している。室温を高くして暖をとるのではなく一定温度で維持するタイプの蓄熱型のじっくりとした温熱環境が実感できた。アクアレイヤーに関してはボイラーやポンプなどの可動部分がないので将来にわたって耐久性などの不安が少ない所もメリットと言えるだろう。

写真は野木の家の1階居間(但しこれは夏、冬はこたつが出ている)左側の白い円柱が簡易ソーラーの縦ダクト。棟ダクトで集熱した空気を1階床下まで送る。桧の床板の下にはイゼナのアクアレイヤーの水の入った90mm厚の袋が敷かれている。

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真壁耐力壁の復元力特性試験

0909 先日、栃木県宇都宮市内にある栃木県林業センターで真壁耐力壁の復元力特性試験に立ち会った。
試験体はU建築工房の丸山さんが用意したもので木造の構造体フレームの中に真壁のパネルとして落とし込む方式のものである。外壁側は本実加工をした杉の荒板(塗下地を想定)で室内側は12mmの石膏ボード貼のパネルである。このパネルを四周にしゃくりを施した構造体フレームの中に落とし込むもので柔らかい壁とする為にあえてパネルは構造体フレームとは緊結せず若干の遊びを持たせた状態で落とし込んである。一方構造体フレームは杉材で構成しており柱と梁、及び土台はプレカットでは標準となっている短ほぞ差しである。通常だと柱、梁及び土台は基準法の仕様規定により補強金物で緊結されるが今回の実験では仕様規定の補強金物は使わずあえて短ほぞ差しに木製の込栓打ちとしている。これは限界耐力設計において曲げ変形の生じないせん断変形卓越型の変形範囲内を想定しての事である。
 さてその結果についてであるが層間変位で1/200から始まり1/30程度のあいだにおいてはほぼ予想されたような復元力特性を示した。さらに加力して変位を大きくしていくと1/20近くで込栓に引っ張られた梁の下端が破壊してしまった。短ほぞの場合は通常60mm程度の長さであるから込栓はその中央で30mmの位置となり込栓の径を差し引くと梁の下端から20mm強程度しかないので耐力壁が破壊する前に梁が割裂してしまう結果となった。耐力壁の方はほぼ予想通りの結果であったがそれを受ける構造体フレームの接合方法は課題として残った。

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リフォームの話(4) ― 壊すものと残すもの ―

R5R7 R8   耐震診断や耐震改修設計により構造的なまとめ方がはっきりしてくれば、それを基 にようやく本題の使い勝手を含めた間取りや仕上げ方など意匠的な部分に入ります。 事例のお宅は農家住宅の典型のような間取りをしており各室が襖で仕切られこれを取り去れば大広間として冠婚葬祭などの大勢の客寄せにも対応できるような作 りでした。ただ住まわれている方はこの様な間取りと使い勝手には満足されておらず個室を重視したどちらかと言えば洋風の室配置の方を望まれている事がわ かったので外観は民家ですが内部は個室重視の洋風の間取りとしています。(このあたりは住まい手である建て主さんの考え方により大きく違うところではあり ます)このことは耐震改修上、耐力壁の分散配置に役に立っています。その分、家族が集まる居間や食堂、それに連続する土間などは広く一体感を持った空間と しています。引き込み可能な建具などで可変な空間に仕切ることが可能で多様な使い方にも対応できるように設計しました。

 間取りの変更や部屋の交換などにより日照や採光、通風等の室内環境を向上することができる場合もあります。隣家を含めた周囲の状況調査を踏まえ部屋間の間仕切り変更や撤去、室交換などもそれが可能な場合には有効な手段と言えます。

 事例のような全面リ フォームではあまり問題になりませんが部分的なリフォームの場合では新旧の区分けをどこにとるかは中々難しいものです。一部を新しくすると古い部分は余計 にそれが目立つこともありますのでそれをうまくさばいて徐々に新しい空間へと導くような工夫が必要な場合も出てきます。当初は予定していなかった所でも前 記のような関係で多少手を入れてあげるなどの追加的な改修が必要となる場合もあります。

 長く住んでいると住まい の一部に対して愛着のあるものや思い出があり大切にとっておきたいものなど人それぞれでしょうがお持ちの場合もあります。(家具や建具、床框、天井板等 々・・・)そのような場合それをうまく生かして新しい空間に活かすことも大切です。この事例のお宅でも玄関の天井や茶の間の建具、和室にあった繊細な格子 の書院窓の建具などをそのまま残したりあるいは場所を変えて再設置したりと新旧をうまく組み合わせて残す工夫もしています。

 環境面に関しては古い建 物(特に民家型の住宅など)では断熱なども不十分というか、ほとんどなされていないと言う状況ですので断熱改修をすると生活環境は大幅に向上します。暑さ 寒さに対する不満には建物の断熱性能を高くする事は大いに効果を上げる事ができます。断熱工法には外断熱工法や充填断熱工法などありますがどちらを採用し ても正しい施工方法をとれば問題なく効果を上げる事ができます。(断熱材メーカーの提灯持ちのような本も出されているようですがどちらの工法にも一長一短 があります。要は正しい施工方法が取られているかです)

*写真(左)は玄関の天井。既存天井をそのまま残しています

  写真(中)は改修して明るくなった北側和室 

  写真(右)は改修した東南の和室。広縁の障子はサッシュ側に移動して部屋を広く。広縁との境にある上部の小壁は耐力要素なので撤去せずそのまま残しました。

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限界耐力設計の話(5)

Genkai5  自前で作った限界耐力設計シートに以前に私が設計した平屋の住宅(既存の屋根と骨組みを残した耐震改修を含めた全面改修)と2階建ての住宅をそれぞれ入力してみた。共に仕様規定に則った通常の壁量計算で安全確認はしてあるものである。概要に続いて荷重の入力、そして通りごとに耐震要素の復元力特性の入力となるのであるが、直ぐにぶつかるのが実際に使っている耐震要素にたいして適用出来る復元力特性がないという事。(2)の話で述べたがタスキ掛けの筋違いはどうしようとか、ラスボードに漆喰塗の復元力特性はどうしようとか、単純には適用できない要素も種類ではなく壁長としてはかなりあるのでこの辺りの判断で復元力特性は違ってくる。(単なる試行であれば設計者の判断でかまわないがこれを基に確認申請に使うわけにはいかない)設計者の工学的判断(他所では通用しないだろうが)でとりあえず全て入力してしまう。
 両物件ともに復元力特性の不確実な要素をはずして入力した場合は1/120の損傷限界はクリアできるものの1/30の安全限界を超えてしまった。まあ、タスキ掛けの筋違いが片方を無効にされたり特性の不確定な要素を無効にしたりしているから仕方ないところかも知れない。無効にしてしまった耐震要素に先の工学的判断である程度の復元力特性を入れてあげるとほぼ設計の目標値(損傷限界で1/120、安全限界で1/30の変位)は確保しているようである。
限界耐力設計では仕様規定に基づく壁量計算で認められている筋違いや面材耐力壁の他にも「ほぞ」や開口部上部にある小壁や外部のラスモルタル壁なども耐力要素としてカウントし壁全体が耐震要素と見てその耐力を検証している。仕様規定の壁倍率では計算外の仕上材などの雑壁の耐力もある程度期待してその耐力を決めてあるようなのでまあどちらも同じ事をしていると言えるかも知れない。
私にとっての限界耐力設計は今、スタートしたばかりでありデータもほとんどない。設計者の工学的判断のみでは申請を通すことは難しいだろうし当面は通常の壁量計算とこの限界耐力設計の2本立てで構造の安全確認を行いデータとしての蓄積を取るつもりである。その間には特性の不確定な要素も少しずつ解消されて行くかもしれない。実践と検証を踏まえながら少しづつ一歩づつ前進していくつもりである。

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リフォームの話(3) ― 耐震診断と耐震改修 ―

R4  リフォームの相談を受けた場合ほとんどのケースで地震で壊れはしないかなど耐震診断や耐震改修の話が出てきます。これには先の現地調査の結果を基に診断、判定、改修設計となる訳ですが、築年数の経った古い建物の場合、診断結果が1.0未満の倒壊の可能性が高いという結果になることも多いです。(診断では1.0以上~1.5未満の範囲であれば一応倒壊しないという判断になり、1.5以上であれば倒壊しないという判断になります)
幾度かの震災の経験を踏まえて耐震基準がだんだんに引き上げられたことを考えれば古い建物がこの基準に満たないことは致し方ない結果とは言えますが「倒壊の恐れあり」の判断をそのままと言う訳にも行きません。当然何らかの耐震改修を考える事となります。現状を踏まえ耐震以外の改修の範囲を踏まえた上で必要以上に大げさにならない範囲で改修を考えることは予算との兼ね合いの中、なかなか妥協点を見つけるのは難しい作業となります。
 現行の耐震基準は木造住宅などの場合、筋違いや合板の耐力壁+補強金物による剛な構造(変形を抑えた固い構造)となっています。基準が引き上げられた結果、築年数が古いものでは耐力壁の量が不足している場合が多くを占める事となっていますが、現行基準では壁倍率という壁の強度に見合った補強金物とセットで使う事が必要となる為、実際に補強する為には外部あるいは内部の仕上げを取り去って骨組までの状態にしないと簡単には出来ないのが実情です。その為の費用負担が大変なので皆さんここで躊躇されます。
 この事例では当初より耐震補強が必要と言う事がわかっており建て主さんもそのつもりでおりましたので予算的な問題も解決済みで屋根以外はほとんど骨組にして耐震改修を行いました。基本的な耐震改修の考え方として耐力の強い壁を少なく設置する(開口部を広くとったり平面計画上自由度はこの方が上がります)よりも多少単位長さ当たりの耐力は小さめでも分散して数多く配置する方法を取りました。調査では分からなかった未知の要素が潜んでいる可能性もあるので極力、応力の集中を避け現行基準法を当てはめてもホールダウン金物までは必要としない程度の壁倍率の耐力壁を分散して配置しています。(以前より壁が増えても間取りなどの計画上の要求も特に問題とはならなかった事もありました)
 別稿の限界耐力設計の話で少し述べてありますが現行基準の剛な構造を前提とした構造解析ではなく貫や土塗壁の伝統構法の民家などのように柔らかい構造を評価できる限界耐力設計の解析方法(*1)を当てはめれば必ずしもホールダウン金物など後付けの難しい金物を設置しなくてもその構造的な安全性の確認は取れると考えています。この場合は建物が倒壊に至らないように安全性を考えた柱の傾きの限界値を稀にある地震で1/120、ごく稀にある地震で1/30を超えないようにすると言うような設計上の安全値を決めておいて判断をするものです。(数値は木造のような柔らかい建物の参考値)
(つづく)

1*) 少し専門的な話になるがこれは限界耐力設計法の中でも変位増分法といわれる解析方法で「伝統構法を生かす木造耐震設計マニュアル」で詳しく解説している。伝統構法である土壁等も対象に含んでいるので解析の前提として仕様規定に基づくホールダウン金物等の使用が必須の条件ではない。(実験で求めている復元力特性の値の算定条件の中にはV型の補強金物を使用しているものもある)一方、荷重増分法という解析方法もある。解説書としては「木造軸組工法住宅の限界耐力計算による設計の手引き」が有り、こちらは建築基準法の仕様規定による補強金物の使用を前提としている。

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限界耐力設計の話(4)

Genkai4  ただこれを実務として実際の建築確認申請まで使うにはまだハードルがある。ひとつは入力する耐震要素の復元力特性(*4)が全て揃っている訳ではないという事。「伝統構法を生かす木造耐震設計マニュアル」は伝統構法を評価することに力点が置かれているので土壁や貫などについては実験により復元力特性を得ているが一般的な筋違いなどでは事例が少ない。壁量を確保するときによくやるタスキ掛けや90mm角の筋違いなどの特性は載せられていない。これは実験により算出するものなので個人の一設計者では手が出せないところである。希望としては現行の仕様規定にのっている耐力壁についての復元力特性程度は欲しい所だ。(それなら壁量計算で十分ではないかと言われるかもしれないが)
また限界耐力設計法を採用した場合、建築確認申請に当たって現行法では構造のピアチェックの対象となってしまい小規模の木造住宅の場合には申請上の負担も大き過ぎる。限界耐力設計を採用した場合、民間確認審査機関や役所などでは受け付けてくれないとの話も耳に入った。(真偽の程を確認してはいないが)設計者も審査する側もともに勉強する必要がありそうだ。
私は職人の技術に頼った伝統構法を目指している訳でも補強金物を全否定する訳でもなく、これからの木構造の有り方として木のしなやかさを受け入れる柔構造を評価した現代の木造構法を考えて見たい。その為のツールとしてこの限界耐力設計法には可能性を感じるものである。
(つづく)

*4 建物は荷重を受けると変形するがこの荷重と変形量の関係を表したもの。一般に荷重が小さい間(弾性範囲)は比例関係にあり直線状の線形で表すことが出来るが大きくなると(塑性域)比例関係ではなくなり非線形となる

*  写真は2年ほど前に栃木県足利市内で行われた民家の引き倒し実験の模様

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リフォームの話(2) ― 現地調査は重要 ―

R2R3_2  建て主さんからの現状に対するこれらの不満や要望を念頭に置きながらまず現地調査を行う事からスタートします。リフォームの内容にもよりますが目視により外部や内部の調査は重要な項目です。屋根葺材の状況や棟の波打ちの有無、外壁の汚れやひび割れ等の老朽化の度合い、必要な場合は傾き具合、サッシュ廻りのシールの有無や状況なども調べます。建物内部に入る前に高 低差など敷地周辺の状況を調べる場合もあります。(必要によっては地盤調査を行う場合もあります。事例では耐震改修を伴う全面リフォームの予定であったため、サウンディング試験による地盤 調査も調査会社に依頼して行いました)
室内の同様に目視調査により老朽化の度合等、状況の確認を行います。床や柱などに傾き等のが感じられる場合(建具の建てつけ、動きが悪いなどの場合は建物が傾いている場合もあります)は下げ振りや水準器などで傾き具合の測定も行います。図面により筋違いの種類や位置などがわかっていればいいのですがわからない場合は下地センサーなどを使って筋違い位置の確認なども行います。
要望の中に構造的な心配や耐震診断などが含まれる場合はさらに小屋裏や天井裏、床下なども調査する必要が出てくるので調査する側もそれなりの準備や装備が必要となります。この事例では耐震診断が含まれていました。つなぎに軍手、マスク、帽子、延長コードや投光器などを準備して完全武装で小屋裏の調査を行いました。耐震改修に加えて間仕切りの変更や撤去も予想されたため図面を起こす関係上、現状の梁の掛かり具合の確認等も行った為かなり時間がかかりました。初夏でしたが小屋裏はかなり暑く1時間近くもいると死にそうになります。こんな所で死にたくないので途中休憩を挟み都合2時間くらい小屋裏調査にかかってしまいました。これで終わりならまだいいのですがこのあと床下にもぐって調査があります。小屋裏のように暑くはないのですがほとんどの場合床下は狭いのでもぐり込むだけでも大変。苦労して入って投光器を片手にそこからほふく前進、これまた大変。腐朽部分やシロアリの被害はないかなど床下の状況の確認を行います。図面があれば少し楽ですがなければ基礎の図面までは無いことが多いのでこの段階で基礎の種類や位置なども確認します。
(小屋裏や床下の調査は汗と埃、泥まみれで大変、仕事じゃなければやりたくないのが本音です(^_^;)
泥まみれになった所で本日の現地調査は終了。あとは事務所に戻ってデータの整理や図面化を行いリフォーム、耐震診断及び改修の資料とします。
(つづく)

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リフォームの話(1) ― 現状に対する不満や要望など ―

R1_2  テレビ番組で取り上げられているせいでしょうか最近はリフォームの相談を受けることも増えてきました。自邸を含めリフォームも大小様々なケースに携わってきましたが、ここでは築40年近くになる宇都宮市郊外の農家住宅の全面リフォームの事例をもとにお話をさせていただきます。設計する側のスタンスとしては新築であってもリフォームであっても特に違う事はないのですが設計者に与えられる与条件は大きく違っていると言えます。建物の大小や老朽化の程度こそ違え、既に建物がある(居住空間がある)という与条件は新築の場合とは大きく異なっています。
 リフォームの場合建て主さんの希望を良く聞く事はもちろんですが、それと並行して現在お住まいの建物がどのような状態になっているかを確認する現地調査が重要なポイントとなります。それにより現在の建物が構造的に見て安全か否か、希望を満たすために今あるものをどこまで生かすのか、あるいは撤去して新しくするのか等の判断をしなければなりません。
 リフォームに当たって寄せられる現在の住まいに対する不満は皆さん比較的共通のものもあります。
よくある事例をいくつか列記して見ると
 ・内装、外装等の汚れや傷みがひどくなり見栄えも悪い。
 ・雨漏りがする。
 ・建売住宅を買った、あまり考えずに作ってしまった等で使い勝手に不満がある
 ・古い家なので夏は暑いし冬は寒く快適性に欠ける。
 ・日当たりが良くない、道路に面しているので騒音が激しいなど環境が悪い。
 ・家族構成の変化などに伴い住まいが手狭となってしまった。
 ・老朽化が進み地震で倒壊しないか心配。
 ・設備機器が古くなり機能的な不満、交換の時期を向かえている。
 ・シロアリの被害を受けてしまった。
 ・床が傾いていて建具の建てつけも悪い。
など同様の問題や不満を抱えている方も多いのではないかと思います。

これらを項目に分けて整理してみると
 1. 構造的な不満、心配(地震で倒壊しないか、床が傾いている、シロアリの被害を受けたなど)
 2. 空間の広さに関する不満(部屋が狭い、収納が足りないなど)
 3. 日照や暑さ寒さなど環境に対する不満
 4. 間取りなど計画に関する不満(部屋のつながり方など使い勝手が悪いなど)
 5. 老朽化による不安や不満(内外装の傷みや見栄え等)
6  設備機器に関するもの.
 7. 上記条件の複合によっておこるもの(床の傾きや壁のひび割れ、雨漏りなど)
おおまかに見てもこれくらいは出てきます。
これを基に現地調査に入ることになります
(つづく)

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限界耐力設計の話(3)

Genkai3  順番に声を出してテキストを読み上げる学生時代のような寺子屋スタイルの勉強会である。50代も半ばを迎えるとテキストの文字も見えにくい。こんな形でほぼ1年間、テキストの読み合わせが完了し今年(2008年)からは実務で使えるように表計算ソフト(エクセルを使用)に載せる作業を各人で始めた。
 それぞれが持ち寄った物件を基に建物概要から始まり荷重の算定、復元力特性の入力および集計、限界耐力設計、そして評価やグラフに依る表示など入力のフォーマットを考えながら載せる作業はかなり長い道のりに見えた。途中、参加できなかった月などあれば1か月のブランクが生じるし、この作業がスタートしてからは本当に出来るだろうかとの不安も頭をかすめる。私の場合、幸か不幸か進めていた設計の仕事が先方の都合で中断となり時間が空いてしまった為、勉強会とは別に普段の仕事の時間を使って一気に進める事ができた。あれほど遅々として進まなかった作業も一気に1日をフルに使えば延べ3日くらいで一応の形はできた。出てきた応答スペクトルのグラフも何となくそれらしい線を描いている。
 表計算シートであるから何度も繰り返されるセル間のコピーや移動の過程でセルの参照位置が違ってしまったり、セル内の計算式そのものが違っていたりとバグ取りに加えて入力し易いように入力部分のインターフェイスを変えたりとさらに3日位かけて手直し、ようやく一応の完成(まだバグ付きかも)を見た。

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限界耐力設計の話(2)

Genkai2  講座ではこのマニュアルに基づいて具体的な解析方法の解説や手順などを先生方が用意して下さったエクセルの表計算シートなどで教えていただいた。解析の肝に当たる振動の理論や質点の縮約など、学生時代に勉強したはずの微積分はおろか2次方程式でさえうろ覚えの今の私では難解で理解というにはほど遠い状態であったが、少なくともこの方法がうまく適用できれば仕様規定の壁量計算や補強金物でがんじがらめの現行法内での木構造の在り方も変えることが可能であるとの感触は得られた。

 木造設計者の個人的な思いとして今の仕様規定では軽くてしなやかな木の良さを生かせていない。鉄骨や鉄筋コンクリート造などと同列の構造解析が出来るようにと従来曖昧だった接合部の仕様まで基準が示されるようになり現代の木造は固い剛な構造とならざるをえない。結果として日本に昔から続いてきた筋違いの入らない貫や土壁などの伝統構法の家は造りにくい、造れない状況に追い込まれている。私自身は土壁などの伝統構法の家を造っている訳ではないが柔構造的な特質は大いに学ぶべきところがあると思っている。
 前に記した関東能開大小山校での講座ではこの限界耐力設計法を適用できれば木造においても建築基準法の仕様規定により金物でがんじがらめの剛構造の状態から解放される可能性が出てくるのではとの感触を得たが具体的にそれを実務で使用するにはまだまだハードルが高い。設計者自身がさらに限界耐力設計に対する理解を深めさらに進めて実務で適用できるような表計算シートを自身の手で作ろうと言うことになった。これが先の勉強会の始まりである。
 初回は私の地元、栃木県野木町の公民館に集まってもらった。栃木県や埼玉県からの参加者を得て8名からのスタートである。東京に程近いところから車で2時間余りをかけ来てくれたメンバーもいる。
テキストには関東能開大小山校の講座で使った「伝統構法を生かす木造耐震設計マニュアル」に加えて(株)ストラクチャー様のホームページに掲載されているコラム「限界耐力計算ってなんだろう?」も使わせていただきました。(株)ストラクチャー様にはこの場を借りてお礼を申し上げます。
(つづく)

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限界耐力設計の話(1)

Genkai1  真壁ネット(*1)では昨年(2007年)1月から木造住宅の限界耐力設計の勉強会を毎月開催している。これはさらに1年ほど前に栃木県小山市内にある関東職業能力開発大学校において「伝統構法を生かす木造耐震設計マニュアル」(*2)を基にした限界耐力設計の講座を同校の岩田、松岡両先生により受けたことから始まった。建築の意匠設計が本業であり構造の専門家ではない私にとって「限界耐力設計」という言葉が非常に難しく感じられ一体どんな話が出てくるのか、聞いていて理解ができるのか半信半疑といった心持で受講したものである。構造設計者であれば聞きなれた言葉かもしれないが意匠的なデザインを主体とする設計者にとっては「限界耐力設計」なるものがどんな理論に基づきどのような設計をするのかなどすぐには想像できない。

従来からある許容応力度設計法では自重や積載荷重などの長期にかる荷重、地震力や風荷重など短期にかかる荷重のどちらの場合にあっても柱、梁などの構造体がその許容応力度を超えないように設計する手法であり手慣れた方法であるので、そういう意味では理解がしやすいともいえるが相手は目に見えない部材の内部応力である。
一方、限界耐力設計法では地震によって建物がどの程度変形するのか、そしてそれをどの程度までなら許容するかという判断を行うので設計の中身はともかく判断の基準としては非常にわかりやすい。一般的には木造の場合、層間変位(階の高さに対する水平方向の変形量)で1/120を損傷限界(構造体に損傷を受けない限界に対する設定値で稀に発生する地震に対する応答値に対応するもの)1/30程度を安全限界(構造体が倒壊しない限界に対する設定値で極めて稀に発生する地震に対する応答値に対応するもの)とするようであるが建物の構造的な特質(変形性能)によっては基準法の範囲内で別の値を設定することも可能である。たとえば3mの階高の場合1/120の層間変位とすると頂部で25mmの変形が損傷限界、100mmの変形が安全限界となる。これでは変形が大きすぎると思えばさらに厳しい設定値を設け安全限界を1/60にして最大50mmの変形に留めるなど理解のしやすい判定が可能となる。(*3)

(つづく)

*1 正式名称は真壁の家づくりネットワーク。地域において住まいづくりを考えている、実践している設計者、施工者、研究者の集まりで主に栃木県、埼玉県、群馬県、茨城県などの北関東のメンバーが多いがインターネットを介して遠くは九州で活動しているメンバーもいる。地域産材を始めとして素材や構造、工法など住まいを取り巻くあらゆるものに目を向けてこれからの住まいづくりの在り方を考えている集まり。一般的な洋風住宅のように柱や梁といった構造体を壁で覆ってしまう「大壁」に対しに構造体である柱や梁をそのまま室内に表した和室に見られるような形式を「真壁」というがこのような構造体を隠さず素直に見せた「木の家」をつくっているメンバーが多い。名称の頭についている「真壁」の由来はここから来ている。
*2 伝統構法を生かす木造耐震設計マニュアルは2004年に学芸出版社から刊行。京都大学防災研究所の鈴木祥之教授を委員長にJSCA関西((社)日本建築構造技術者協会関西支部)のメンバーが中心となった同マニュアル編集委員会によって作成された。許容応力度設計法に基づいた建築基準法の仕様規定では日本の伝統的な建築構法はその構造的な評価がなされず新たな設計や改修において困難な状況であったが2000年の建築基準法施行令改正、施行により仕様規定から性能規定への道が開かれ許容応力度設計法や従来の仕様規定による壁量計算だけではなく限界耐力設計法による設計も認められることとなった。
*3 これは限界耐力設計法の中でも変位増分法といわれる解析方法で「伝統構法を生かす木造耐震設計マニュアル」ではこちらを詳しく解説している。もう一方で荷重増分法という解析方法もあるがこちらについて私は理解していないので本の紹介のみに留めるが「木造軸組工法住宅の限界耐力計算による設計の手引き」2007年に(財)日本住宅・木材技術センターから発行されているものでこちらは荷重増分法で解析しているとのことである。

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ひさしぶりに上棟式

Jyoto  昨日は久しぶりに上棟式があった。昨年から手がけていた仕事だがようやく昨日、上棟を迎える事が出来た。埼玉県行田市内の現場に着いたのは午後の3時頃であったが8割程度建方は進んでいた。棟梁に声をかけて様子を聞いてみたが特にトラブルもなく順調との事。まずは一安心。建方の最中に設計者がいても問題が出てこない限りは特にする事は無い。お施主さんと一緒に様子を眺めるのみ。木造の構造体がそのまま表しになる「木の家」なので補強金物の処理などにはちょっと気を使う。

 この時期、午後も5時を過ぎるとさすがに暗くなってしまうがようやく棟も上り幣串が建てられ上棟式を迎えた。もう既にかなり暗い中であったが屋根に登り棟梁、頭、お施主さん共々で式をとり行う。既に夜景となってしまい家々の明かりがともった景色を眺めながらの上棟式はまたひとしお感慨深い。
 お施主さんにはご祝儀や料理などご用意していただいたが、昔の様に現場で一杯いただいて帰るということは出来ないのでご挨拶、お礼などを済ませ皆で現場を後にした。

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簡易ソーラーシステムについて(追補)

Nogi_ima2  前回まで私が自邸「野木の家」で試みた簡易ソーラーシステムについてまとめのつもりで報告させていただいたが、最近感じた事を追補として書き添える。
 以前の報告までの自邸の温熱環境は1階においてはLDに設置した深夜電力を利用したALHS(アクアレイヤーヒーティングシステム)と補助暖房のコタツのみ、2階は10帖の仕事部屋に設置してあるヒートポンプのみで部分的に冷暖房を行なっていて省エネの立場から建物全体を暖房するような方法は行なってはいなかった。本年は少し考え方をかえて1階のLDに設置してあるヒートポンプと2階仕事部屋のヒートポンプ2台をあえて建具で部屋を仕切らず開放した状態で時間を決めて運転して建物全体の温度分布がどうなるかを試してみている。ALHS、簡易ソーラー、ヒートポンプ全部を組み合わせた効果については1年程度をかけて検証するつもりであるが今回、取り合えず簡易ソーラーの効果について感じられたことを報告する。

 以前の報告では一番その本領を発揮して欲しい冬季においての屋根面における集熱温度がさほど高くない為、その効果があまり感じられないと書いたが棟ダクト内の集熱温度が30℃に近い条件の良い時の効果はどうなのかと言うとこれは確かに効果があると言える。天気の良い日の日中はダイレクトゲイン(直接取得熱)のみでも充分に暖かくLDでは20~21℃くらいまで室温が上がる。棟にある集熱ダクトの温度が20℃以上を維持できる時間も午前の11時頃から午後4時頃までの5時間強くらいはある。(2月初旬で好条件時の棟ダクト内の最高温度は30℃・外気温の最高値が10℃程度)さすがにこのくらいの時間、集熱できるとその効果ははっきりと感じる事が出来る。ALHSとあいまっての効果と思われるが夜の11時頃(外気温3℃程度)でもヒートポンプの運転なしでLDの室温は18℃を維持している。寒がりでない人ならまったく暖房せずに過ごすことも出来そうである。(我が家においては寒がりの家内や娘がいるのでこのような日でも補助暖房としてコタツのみ運転しているが)
 結果的にはこのような好条件の日は一月の内、数日しかない。曇りの日は別にしても晴れている日はこれに近い結果を出したいと考えているが集熱温度をもっと上げるための工夫が必要である。簡易ソーラー向けにコストのかからない方法を模索中である。

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簡易ソーラーシステムについて(5)

Nogi_syokudou 前回、ALHSについて朝はほんのりと暖かく夕方はもう暖かくはないと書きましたが、これは本来のALHSの使い方と違う事も一因になっています。イゼナさんの名誉の為に補足しますと蓄熱タイプで設計する場合はコンクリートのベースの上に直に施工し、アクアセルと共にコンクリートにも蓄熱させるような方式を推奨しているようです。我が家の場合は簡易ソーラーの集熱空気をアクアセルの下部に通す事により蓄熱する事を期待したものですが残念ながら簡易ソーラーでは冬季においての集熱温度が一番良い時でも30℃程度で大部分は20℃+α程度ですから蓄熱には程遠く放熱を遅くする程度の効果しかありません。またALHSの設置面積も考慮する必要があります。もう少し確かな熱収支計算によりその設置面積を決めれば良いのは確かな事ですが我が家の場合は予算から設置面積を決めてしまいました。(予算的に実行可能な範囲での選択でした)

 ALHSを従来型の床暖房と同列に考えてしまう事は正当な評価とは言えないのではと思います。設置室のみではなく建物全体で捉え高熱容量の熱部材として考えるべきものと思います。外気温の変化にかかわらず室内温度を一定の範囲内に維持できる点などは大いに評価できます。我が家の場合ALHSを設置したのはLDとキッチンのみですがそれ以外に暖房はしていません。(冷暖兼用のヒートポンプは設置していますが暖房用としては通常使っていない)LDにおいてはALHSの余熱+簡易ソーラーの集熱のみですが一番不利な夜間の11時過ぎ(11時以降より深夜電力が通電される)でも15℃程度を維持しています。この点では上出来とはいえないまでも何とかボーダーラインの上には乗っているのではないかと思っています。我が家のLDの補助暖房は床暖房を設備しながら笑われるかも知れませんがコタツです。
(我が家においてはALHSは建物全体の温度を維持する為の高熱容量の熱部材という位置付けが結論でしょうか)まだまだ試行錯誤の段階ですが改良するべき点など色々とデータは取れました。また機会があれば今回の経験を踏まえて再度挑戦したいと思います。奇特な方がいらっしゃれば是非お声をかけてくださいね。

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簡易ソーラーシステムについて(4)

Nogi_genkan 「野木の家」で採用した簡易ソーラーシステムは私としても初めての試みでガラス集熱面の無い屋根からどの程度の熱が取れるのかは見当もつかずとりあえずやってみようというスタンスでした。同時に採用したALHSについても初めて設置するものでどの程度の効果が期待できるかも未知数でした。無論、自宅だから出来た事ですが、肝心の結果についてまず簡易ソーラーシステムから見ますと冬季で棟ダクトが設定温度の20℃以上を確保できた日は2002年1月のデータでは17日ありました。25℃以上の日は13日で最高温度は30℃でした。この空気が床下に送られ窓際床に設けられたスリットより緩やかに室内に循環します。ALHSと併用している為、残念ながら簡易ソーラー単体の効果ははっきりとは解りません。

 一方のALHSの効果ですがアクアセルの設定温度を私の家の場合33℃にしています。無垢材の床を使用しているため低めの温度設定にしていますがコントローラの設定自体は40℃までは可能です。低温水の床暖房の効果ですが朝の起床時は床がほんのりと暖かいと言った感覚です。体感の感覚は個人差がありますから一概には評価できないのですが、不幸にして我が家の場合以前住んでいた家が灯油で温水を循環させるもっと床温度の高い床暖房になれていたものですから暖かくないとかみさんや子供の評判は良くありません。余熱の残っている朝でこの状態ですから温度の欲しくなる夕方では残念ながら床のほんのりとした暖かさは感じる事は出来ません。

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簡易ソーラーシステムについて(3)

Nogi_2f_horu  さてこのように組み立てたシステムをどうコントロールしているかですがソーラー部分は汎用のパーツを組み合わせて使いました。空気を循環させるファンは150φのカウンターアローファン(三菱電機製)を使い、ハンドリングボックスの代わりに温度センサーと組み合わせた電気シャッターを設けてあります。
軒先のスリットから新鮮空気を取り入れ、屋根集熱面(黒のガルバリウム鋼板葺としました)で暖められた空気は垂木高さで確保されているダクトを通り、棟と平行した集熱ダクトに集められます。ファン等の設置は電気屋さん、ダクトの設置は大工さんです。特別な事はなにもしていません。

 棟ダクトに設置された温度センサーにより空気が設定温度(20℃くらいに設定しています)になると電気シャッターが作動し棟ダクトで集熱した空気を縦ダクトにより床下に送るようにしています。夜間や曇りの日などで設定温度以下の場合は棟ダクトからの集熱は行わず室内の空気を廻すだけの内気循環モードになります。2階の部屋天井面近くに設けられた吸い込み口から空気を取り込み縦ダクトに送り込みます。(基本的に床下空間は室内温度と同程度に保たれます)
 以上は冬モードですが夏においては内気循環モードで使います。本来はお湯取りなどで使うべきでしょうが熱交換のシステムとその為の配管工事が必要となりコスト高となるため今回は採用しませんでした。
150φのメインのファンとは別に100φのカウンターアローファンを設けており棟ダクトの空気が設定温度(30℃くらいに設定)以上になると強制排気を行います。夏季はせっかく集熱した空気を捨てているだけなので積極的な利用が課題です。

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簡易ソーラーシステムについて(2)

Nogi_2f 「野木の家」で採用した簡易ソーラーシステムは空気を媒体として屋根面より太陽熱を集熱利用するもので原理的にはOMソーラーとほぼ同じです。違う所は施工の簡易化とコストの削減から屋根のガラス集熱面を省略した事とOMソーラーの場合は集熱した空気をダクトにより床下のコンクリートに蓄熱させるところを簡易ソーラーシステムの場合、床下のコンクリートの蓄熱も期待していますがそれに加えてアクアレイヤーヒーティングシステム(*注1・長いので以下ALHSと表記)のアクアセル(水の入った袋)に蓄熱させる事を期待しました。「野木の家」で採用したALHSはアクアセルの高さが9cmあり高熱容量タイプのものを採用しました。深夜電力により夜間に蓄熱し日中に徐々に放熱するものです。ALHSとソーラーとを組み合わせた場合どうなるかと言う事が一番関心のあった点です。

* 注1 アクアレイヤーヒーティングシステムとは(株)イゼナの床暖房システムでアクアセルと呼ばれる水の入った袋を根太間に設置し、それをセル下部に設置したヒーターなどにより暖めるもの。アクアセル内部の水の対流を利用しているのでヒーターはセル下全部の必要は無く中央部のみで済む事と低温水(35℃程度)による緩やかな暖房感が特徴。熱源は深夜電力、ヒートポンプ等が利用できる。

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簡易ソーラーシステムについて(1)

Nogi1  「野木の家」が竣工して4年あまりが過ぎました。自邸という事もあって人様の家では出来ない試みとして普段から関心があったソーラーシステムを組み込んであるのですが今回はその評価を含めてリポートとしてまとめて見ました。現在はソーラーシステムも色々な方式があります。最近かなり増えてきた太陽光発電(太陽光のエネルギーを直接電気に変換)や空気を媒体とした方式の定番になっているOMソーラーシステム(太陽光の熱エネルギーを集熱し空気あるいは水を介してそれを循環させるなどして利用する)などそれぞれの特徴があります。

 「野木の家」では大袈裟なシステムを組まずに簡単な工夫で太陽熱のエネルギーを利用できる方法を考えて見ました。(これは単に予算が無かった事が一番であるが言い訳をすれば、その気になれば誰でも組み込めるような簡易な方法を試みてみたもの)コストと施工の簡便さから私が選択肢として選んだのはOMソーラーの様に空気を媒介として太陽からの熱エネルギーを集熱し循環させる方式です。OMソーラーは実績も多くかなり完成されたシステムで空気を媒体として集熱利用したり水と熱交換してお湯取りを可能にするハンドリングボックスやそのコントロールシステムなども用意されています。但しそれなりの設計や施工技術が必要で誰でもと言う訳ではなくシステムについての技術講習を受けた設計者や施工者である必要があります。「野木の家」では特別な施工技術は使わず(OMソーラーの様に完成されたハンドリングボックスは用意出来ないので)に市販の機器(汎用のファンや温度センサーなど)を組み合わせて比較的簡易な施工で太陽熱利用を試みたものです。

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完了検査

Kanryou_kensa  今日は下野田の家の完了検査を受けた。私の事務所では埼玉県で完了検査を受ける時は民間の確認検査機関を使っている。こちらの方が対応が早いし何よりお役所的でないのがいい(お役所じゃ無いのだから当り前か)
 そのせいかそれとも「木の家」のせいかシックハウス関連のチェックも目視と写真の簡単な説明で済み、浄化槽と境界杭の確認など15分程度で無事終了。監督さんと29日に予定している見学会の下打ち合わせ、現場の写真撮影などをして本日の監理は終了。   

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